第168章 あの夜の人はいったい誰なのか

野口颯汰の胸の奥で、抑え込んでいた凶暴さが、今にも噴き出しそうになっていた。

用事を片づけたら、すぐに南坂海乃のところへ戻るつもりだった。ところが――彼女がいない。

頭を埋め尽くしたのは、後悔ばかり。

海乃に何かあったらどうしよう。

それ以上に、彼女がこのまま消えてしまうんじゃないか――その恐怖が、喉を締めつけた。

救急車の中で、全身血まみれの海乃を見つけた瞬間。

あのとき自分がどれほど壊れたか、思い出すだけで胃が裏返りそうになる。

その瞬間、悟ったのだ。

南坂海乃は、自分が思っていた以上に――ずっと、ずっと大事な存在だったのだと。

必死に探し回って、ようやく見つけたのは休...

ログインして続きを読む